根管治療

根管治療について

歯の根の治療(神経を取る治療)

「根管治療」とは、歯の中の神経の通っている管(根管)を削りなおし、根管充填材を詰め、細菌の感染を防ぐ治療です。むし歯が歯髄にまで達してしまった場合や、歯の根が病気になった場合などに根管治療が行います。どんなに綺麗な被せ物をしても、しっかりとした根管治療がされなかった歯は長くはもちません。根管治療がしっかりされていない場合、後々になって「根尖性歯周炎」になり、根の先端が化膿し、痛みが出ます。

※根尖性歯周炎とは根管を経由した細菌や、物理的な刺激が根尖孔を経て根尖周囲組織に波及することによって発生します。慢性化しているものが多く、時に急性化します。レントゲンで根の先付近に黒い影ができたり、歯茎が腫れたりするようであれば、根尖性歯周炎を疑います。

CTによる精密な診査・診断

レントゲンでは2次元の平面からの情報のみですが、CTは3次元の立体的な情報を得ることにより、超精密な治療の必要な根管治療では診断に大きな威力を発揮します。手探りでの治療をしていた時代から、今日では、見えない部分を立体的に把握するCT検査の意義は極めて大きく、より安全で確実な治療の要求に応えることも可能となっています。

※歯科用CTの普及率は10~14%程度といわれています。

マイクロスコープによる精密な根管治療

これまで根管治療は「肉眼」で行われていました。根管内は湾曲していたり、網状構造など、非常に複雑な構造をしており、目視では、とうてい細かな部分まで確認することは出来ません。

したがって、これまでの根管治療では、歯の根の長さを測る計測機器、レントゲン写真、手探りの感覚で治療が行われていたのが実情です。肉眼では細かい部分をすべて確認しながら完璧に清掃することは難しいため、職人的な「経験」や「勘」などに頼った治療となっている部分が非常に大きな治療でした。そのため、時には根尖病巣ができてしまって、再治療を余儀なくされたり、抜歯となってしまうことも多い治療でした。

しかし、マイクロスコープの導入により、高倍率で確認しながら精密な治療が可能となりました。すでにアメリカでは1998年に歯の根の治療の専門医は、マイクロスコープを使うことが義務づけられています。ただ、国内においては歯科用マイクロスコープは高価な機器であるため、あまり普及していない現状があります。

※2014年歯科医院普及率 6%程度

ラバーダム保湿

根管治療では、歯の根の中を完全に無菌化することで治療します。ただ、唾液には細菌が存在しており、治療を行いながら歯の根の中を無菌に保つことは極めて難しくなってきます。そこで、治療する部位以外を「ラバーダム」というゴムの膜で覆ってしまい、治療部位のみを完全に分けた状態での治療が考案されています。この「ラバーダム防湿」は、ずっと以前から行われており、世界的にみると根管治療を行う際、ほとんどのケースに使用されています。

※ラバーダムの装着には時間と手間がかかるため、日本では約10%程度の歯科医院でしか行われていません。

ニッケルチタンロータリーファイル

通常、根管治療には、ステンレス製のファイル(細い棒状の器具)を用いて手作業で、細菌に感染した歯の神経とその周囲の歯質を除去していました。それが「ニッケルチタン・ロータリーファイル・システム」では、ニッケルチタン製のファイル(NiTiファイル)を使用し、電動で除去するものです。また、「ニッケルチタン製のファイル」は、ステンレス製のファイルとは異なり、弾力性があるため、歯の根の湾曲に沿って削ることができるので、より精度の高い根管治療が可能となっています。

X・smart plus 根管拡大装置

「X・smart plus(根管拡大装置)」は、精密な処置が求められる根管治療を行なうときに、根管を拡大・形成する装置です。ファイル(根管の清掃で使用する針状の器具)が反復回転運動するので、短時間で根管を拡大・形成できます。また、歯質への食い込みを抑えられるので、ファイルの破損を軽減します。

ニッケルチタン・ロータリーファイルと、X・smart plus「ニッケルチタン・ロータリーファイル・システム」を用いることで、根管治療において、素早く正確に病巣を除去することが可能となるのです。

※アメリカでは約8割の歯科医師が導入しているのに対し、日本では約2割程度といわれています。

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